海域アジア・オセアニア研究
Maritime Asian and Pacific Studies
東洋大学拠点

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【活動報告】NIHUグローバル地域研究プログラム2026年度全体シンポジウムに参加しました。

【活動報告】NIHUグローバル地域研究プログラム2026年度全体シンポジウムに参加しました。

2026.9.17

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202695日・6日の二日間にわたり、国立民族学博物館(大阪)にてシンポジウム「『地域』を再考するグローバル地域研究の新たな地平」が開催されました。

 

本シンポジウムでは、人間文化研究機構(以下、NIHU)・グローバル地域研究推進事業をなす四つの地域研究プロジェクトに参画する各大学や研究機関のメンバーが一堂に会し、これまでの研究成果を振り返りつつ、地域研究の現在と今後の展開が議論されました。イベントの詳細は、NIHUウェブサイトよりご覧いただけます(https://www.r.minpaku.ac.jp/gasp_steering/news20260905-06gasp.html)。

 

「海域アジア・オセアニア研究プロジェクト」も、このNIHUグローバル地域研究推進事業の一つです。東洋大学拠点からは、拠点代表である長津一史教授(東洋大学)が発表者として、また研究分担者である鈴木佑記教授(国士舘大学)がコメンテーターとして登壇しました。

 

一日目は、第一パネル「各プロジェクトの成果と展望」を中心に、これまでの研究成果と来年度の総括に向けての計画が各プロジェクト代表より紹介されました。またそれを受けて、人間文化研究機構監事である井野瀬久美恵名誉教授(甲南大学)より、事業全体および今日の地域研究についてコメントとご質問がなされ、全体討論が行われました。

 

事業全体を統括する三尾稔教授(国立民族学博物館)のご講演では、グローバル化が進展する今日、あらためて「地域」を問う意味について問題提起がなされ、そのうえで「還流/フロー」をキーワードに、人・もの・情報等の動的な流れに着目し既存の地域枠組みを批判的に再検討しつつ、流動の一定のパターンを生じさせる圏域として地域を捉える視座が示されました。また井野瀬監事からは、AI・デジタル化が進行する時代における調査データや情報公開のあり方、研究者のポジショナリティなど、今日の地域研究において看過できない重要な議題が提示されました。

 

続く二日目は、一日目に続いて、第二パネル「『地域』を捉える視座 / 主として歴史的な視点から」と第三パネル「『地域』を生成する主体・現象 / 主として現代的な視点から」という二つのパネルが開かれました。

 

拠点代表として参加した長津教授は、第二パネルにおいて「移動と混淆――東南アジアの海民にみる移動と集団編成の技法――」というタイトルで、東南アジアの海域世界論から国民国家や既存の地域概念を相対化する視点を整理され、必ずしも国家に「選別」された共生ではなく、さまざまな出自や背景を持つ人びとが混淆する「在地の共生」のあり方についてお話されました。

 

第二パネルで発表する長津一史拠点代表

 

また本パネルでコメンテーターを務めた鈴木教授は、一日目の三尾教授が提示したフローというキーワードを挙げながら各報告を整理されました。そのうえで、「さまざまな人やもの、情報が行きかう流れ(フロー)の中に生存の足場をどう編むのか?」「必ずしもはっきりとはわからない多様な他者や状況(「不透明さ」)を保ったまま流動的な世界を生きるための日常的な調整の技法はいかなるものか?」という、絶えず人びとが移動する世界における日常的な実践についての問いが提示されました。

 

第二パネルでコメントする鈴木佑記教授

第二パネル討論のようす

 

本ページでは全てのご発表・ご講演の内容を示すことはできませんが、全体を通して、人の移動と流れによってつながる現代社会、またいっぽうではつながるからこそ断絶も生まれている現実を、既存の地域やディシプリンの枠組みを超えて多角的・重層的に捉え、絶えず「地域」を問い直し続ける必要性が議論されました。

 

本シンポジウムでの議論を踏まえ、海域アジア・オセアニア研究プロジェクトにおいても、各拠点研究員や研究分担者・協力者それぞれの調査を基盤に、それらを統合したより広い議論への展開を目指していきたいと思います。

 

文責:明星つきこ(拠点研究員)

 

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