【開催案内】白山人類学研究会 2025年度第6回定例研究会のお知らせ
2025.10.17
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2025年10月20日(月)に、本拠点との共催で白山人類学研究会2025年度第6回定例研究会をおこないます。
日時:10月20日(月)18:15〜
会場:東洋大学白山キャンパス 2号館3階第1会議室
(アクセス: https://www.toyo.ac.jp/nyushi/about/campus/hakusan/)
開催形態:ハイブリッド開催(対面開催とWebexによるオンライン開催)の予定です。
【参加登録】
参加ご希望の方は以下のフォームからご登録ください。
https://forms.gle/G9QVYiebe4BfrsXNA
Zoomを使用したオンラインと対面とのハイフレックス方式にて開催いたします。
アクセス用のリンクについては、例会前日までにご連絡差し上げます。
開始の5~10分前にログインしてください。
発表題目: 近代日本の教育メディアにみる文化表象―坪井正五郎・
発表者: 佐藤 優香(東京大学情報学環・東洋大学人間科学総合研究所・
内容:
人類学者の坪井正五郎と松村瞭が選定を行った井上式人種模型標本 は、 明治の終わりから昭和初期にかけて博多人形製作者井上清助の工房 において製作された地理学習のための教材である。現在、 国内各地の大学博物館等に収蔵されていることが確認されつつあり 、 国立台湾博物館では台湾総督府博物館旧蔵資料のうち13体が展示 されている。島津製作所標本部編『地理及歴史学用標本目録』 大正3年版には、 人形の他にも胸像や陶版などいくつかの異なる形状のものや、 歴史教材として日本の装束の変遷を表した「歴代服飾模型」 等も掲載されており、 人形模型標本が多様な展開をしていたことがわかる。
井上式標本の人形は、 素焼きにとても細やかに彩色が施されており、 顔つきも繊細な表現となっている。 服装や装飾品はどの程度の正確さを有しているのか。 表現されている外見に「間違い」がないのであれば、 綿密な調査による精度の高い情報を得て製作されていることが想定 され、 その表情は具体的なモデルの存在の可能性さえもうかがわせる。 製作の過程において、8種類の「人種」 の正確な服装と個性を表現するに足る情報は、 どこから提供されていたのだろうか。
本報告では、井上式模型標本から「日本帝国人種模型」 を取り上げ、金光図書館所蔵資料を具体例として観察していく。 島津製作所標本部の目録によれば「日本帝国人種模型」は、「 内地人、琉球人、朝鮮人、アイヌ人、台湾人、台湾蕃人、 ギリアック、オロッコ」(ママ) の男女1組16体で1セットになっている。 金光図書館所蔵資料は、 この16体に加えて子どもの男女16体を含む32体で構成されて いる。 坪井と関わりのあった人類学者の調査活動や古写真等を追い、 32体の背景情報の一端を明らかにすることを試みる。